出入国在留管理庁は、令和8年10月1日付で永住許可に関するガイドラインを改定した。改定後のガイドラインは令和9年4月1日以降の申請から適用される。ただし、独立生計要件のうち年金に関する考え方(第2の4(2))と、公共の負担とならないことに関する考え方(第2の5(7))は、改定日の6か月前の日以降の申請であって、改定日において申請中の案件にも適用される。
あわせて、「我が国への貢献」に関するガイドラインは廃止された。このガイドラインは、永住許可の許否を法務大臣が個々の事案の諸般の事情を総合的に考慮して判断する際の、考慮すべき要素についての基本的な考え方を示すものとされている。
外国人が永住許可を受けるには、素行善良要件、独立生計要件、国益要件の3つの要件を満たす必要がある。日本人、永住者または特別永住者の配偶者または子は素行善良要件と独立生計要件が不要で、難民の認定等を受けた者などは独立生計要件が不要とされている。
独立生計要件では、原則として申請時点で、申請者の属する世帯の世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準(年収水準)に継続して達しているかが考慮される。世帯人数が5人以上の場合は、世帯人数に応じた年収水準の額に生活費等の増加額分が加算される。
「家族滞在」など就労を目的とした在留資格(就労資格)ではない在留資格の者の収入は世帯年収に合算されず、申請者が扶養する親族(外国に住む親族を含む)がいる場合は、同居していなくても世帯人数に加算される。年金については、申請時点の年齢と加入状況、年収から推計される将来の受給見込額が、日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き厚生年金に加入していた場合の受給年金水準に達しているかが考慮される。
受給見込額が受給年金水準に達しない場合でも、不足分を補える金融資産(補填資産)があると認められれば、達しているものと評価される。補填資産の基準は申請時の年齢に応じたもので、若年の申請者ほど低くなる。居住要件では、原則として引き続き10年以上本邦に在留していること、そのうち就労資格または居住資格で引き続き5年以上在留していること、現に有する在留資格で最長の在留期間をもって在留していることが考慮される。
過去10年以内に合理的な理由なく1回の出国で半年以上、または通算で2年6月以上不在とした場合は、原則として消極評価となる。令和9年3月31日までに申請した永住許可では、在留期間「3年」の者も最長の在留期間をもって在留しているものとして扱われる。
令和9年4月1日以降の申請は、同年3月31日時点で在留期間「3年」を有し、その申請が同年4月1日以降の初回の申請で、同日から当該「3年」の在留期限までの間に処分を受ける場合に限り、「3年」の者も最長の在留期間として扱われる。
日本語能力は、「日本語教育の参照枠」(令和3年10月12日の文化審議会国語分科会報告)のB1相当レベル以上かどうかが考慮される。高度人材外国人やその家族、初等・中等教育を累計6年以上受けた場合、永住者の子(子を養育する親がB1相当以上で、子が本邦で出生した場合に限る)などは、考慮されない。
我が国の制度・ルール等の理解は、出入国在留管理庁長官が指定する方法により、「生活・就労ガイドブック」に記載されている事項を中心に確認され、一定水準以上に達しているかが考慮要素となる。素行や義務の面では、法に規定する義務(住居地の届出、在留カードの携帯・提示など)は、申請時点の違反だけでなく過去の違反が判明した場合も原則として消極評価となる。
公租公課(所得税、住民税、公的医療保険、公的年金など)は、過去に滞納処分を受けたことがある場合も原則として消極評価となる。拘禁刑や罰金刑を受けた者、少年法の保護処分を受けている者も原則として消極評価となる。原則10年在留に関する特例として、日本人、永住者または特別永住者の配偶者は、実体を伴った婚姻生活が5年以上継続し、かつ引き続き3年以上本邦に在留していること。
「定住者」は5年以上、難民等は認定後5年以上、高度専門職のポイントが70点以上の者は3年、80点以上の者は1年、特別高度人材は1年、我が国への貢献があると認められる者は5年以上の在留で足りる。実務上の注意点として、就労資格には「技能実習」「育成就労」「特定技能1号」「企業内転勤」および一部の「特定活動」は含まれない。
在留資格「特定活動」のうち、継続就職活動、就職内定者、本邦の大学等を卒業して起業活動を行う留学生、難民認定等手続中、本国の情勢不安を理由に在留が認められている者は、「10年」の期間に算定されない。ワーキングホリデーとインターンシップ、本邦の高等学校卒業後に就職した者は就労資格に該当せず、EPA看護師・EPA介護福祉士は、候補者として在留している期間を除き就労資格に該当する(ガイドラインの記載)。
