北海道の農場「MTアグリ」で働く特定技能の在留資格を持つミャンマー国籍の10〜30代の男女6人が、農場関係者による虐待や恐怖で仕事を続けられなくなったとして、21日までに支援団体に保護された。札幌地域労働組合が明らかにしたもので、同組合は札幌出入国在留管理局に情報提供して調査を求めており、一部の行為については刑事告訴を検討している。
6人が訴えた被害の内容は深刻だ。日本語が理解できないことに憤った農場関係者から、手や道具で頭をたたかれたり、胸などを触られたりしたという。さらに、帰国を強制するような暴言や叱責を日常的に受けていたとされる。今回の事案が特に注目される背景には、MTアグリと同じ住所に所在する別の農業法人が2022年に、技能実習生の人権を侵害したとして厚生労働省から技能実習計画の認定取り消しという行政処分を受けていた事実がある。
同一所在地の関連法人がすでに重大な処分を受けていたにもかかわらず、その後も外国人労働者が同様の被害を受けていたとすれば、問題の根深さを示す事例といえる。現在、札幌出入国在留管理局が調査を求められており、一部行為については刑事告訴の検討が進められている。
農業分野で特定技能外国人を受け入れている事業者や、監理・支援に関わる機関にとって実務上の注意点は複数ある。第一に、日本語によるコミュニケーションが十分に取れない外国人労働者は、言語的な齟齬を起因とした暴力やハラスメントの被害を受けるリスクがあることを認識する必要がある。
第二に、同一所在地の関連法人において過去に技能実習計画の認定取り消し処分を受けた経緯がある事業者に外国人労働者が就労しているケースは、受け入れ前のデューデリジェンスの観点から特に注意が求められる。第三に、被害を受けた外国人労働者が労働組合や支援団体を通じて出入国在留管理局へ情報提供・調査申請を行う事例が実際に生じていることも、関係者は把握しておく必要がある。
