プレス機に左手を挟まれて人さし指を失った中国人技能実習生の女性が雇用主の金属加工会社を訴えた訴訟で、千葉地方裁判所(千葉地裁、大寄久裁判長)は2026年9月、会社側の安全配慮義務違反を認定し、約960万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
朝日新聞が2026年10月11日に報じた。判決によると、原告は中国籍の40代の女性で、2020年4月から千葉県習志野市の金属加工業の工場で技能実習生として勤務していた。2022年4月、作業中にプレス機の金型に巻き込まれ、左手人さし指切断などのけがを負った。
原告側は、プレス機の安全装置など事故を防ぐ設備が不十分だったと主張し、さらに女性は日本語がほとんど通じなかったにもかかわらず、危険性の高いプレス機の扱いについて中国語による研修の実施や教材の提供がなかったと訴えた。一方、会社側は、女性が後遺障害を負うことで日本に在留し続けようと考えたとし、労災保険の給付額を気にしていたことなどを挙げ、指の切断は自傷行為だと主張した。
判決は、会社側が主張した自傷行為の可能性を退けた。そのうえで、事故防止の措置や、日本語の通じない女性に対する安全教育が不十分だったとして、会社側に安全配慮義務違反があったと認定した。また、母国語を使うなど、女性が理解できる方法で安全な作業手順を指導し、その理解度を確かめながら指導していたとは認められないことも指摘した。
会社側は判決を不服として、東京高等裁判所(東京高裁)に控訴している。外国人労働者は、日本人と比べて労災の発生率が高い。厚生労働省によると、2025年の労働者千人当たりの労災発生率(労災による死者と休業4日以上の負傷者)は、日本人を含む全体が2.3人だったのに対し、外国人に限ると2.8人だった。
在留資格別では、技能実習が4.1人、特定技能が4.1人だった。実務上は、受け入れ企業は、機械の安全装置などの設備と、外国人労働者が理解できる言語での安全教育の実施状況を確認する必要がある。
