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技能実習生の73.2%・特定技能の76.5%の事業場で労働基準関係法令違反 機械の安全基準が最多、送検は計35件 厚労省の令和7年監督指導

この記事の更新履歴(初回掲載日: 2026-09-15)
宮武薫
宮武 薫(みやたけ かおる)
公益社団法人さくら研修機構代表理事、入管申請取次行政書士

 厚生労働省は令和8年9月15日(2026年9月15日)、全国の労働基準監督署等が令和7年に外国人技能実習生又は特定技能外国人を使用する事業場に対して行った監督指導と送検等の状況を公表した。技能実習生関係では、監督指導を実施した13,148事業場のうち9,619事業場(73.2%)で労働基準関係法令違反が認められた。

 主な違反事項は、使用する機械等の安全基準(22.8%)、健康診断結果についての医師等からの意見聴取(15.7%)、割増賃金の支払(15.6%)の順に多かった。特定技能外国人関係では、監督指導を実施した8,082事業場(前年は5,750事業場)のうち、76.5%(前年76.4%)に当たる6,179事業場(前年は4,395事業場)で違反が認められた。

 違反事項の上位も同じで、使用する機械等の安全基準が20.7%、健康診断結果についての医師等からの意見聴取が16.7%、割増賃金の支払が16.3%だった。重大・悪質な労働基準関係法令違反により送検したのは、技能実習生に関するものが26件、特定技能外国人に関するものが9件だった。

 業種別の違反率は、技能実習では建設が2,808事業場中2,252事業場(80.2%)、特定技能では建設が1,238事業場中1,008事業場(81.4%)、飲食店が366事業場中295事業場(80.6%)だった。外国人本人から労働基準監督署等に是正を求めてなされた申告は、技能実習生が108件で賃金・割増賃金の不払(93件)、解雇手続の不備(15件)、最低賃金額未満(7件)の順、特定技能外国人が150件で賃金・割増賃金の不払(131件)、最低賃金額未満(19件)、解雇手続の不備(17件)の順に多かった。

 送検事例として、金属製品製造業の会社が技能実習生5名に特別条項付き36協定の回数(6回)を超えて最大4回、月42時間を超える時間外労働をさせ、労働基準監督署の調査に偽装した労働時間記録を提出していたとして、法人と代表取締役等が労働基準法第32条(労働時間)違反などの疑いで送検された。

 輸送用機械等製造業の資材置場では、ガス溶断の資格を持たない技能実習生に鋼材の溶断作業をさせて休業4日以上の負傷を負わせたのに労働者死傷病報告を提出しなかったとして、法人と取締役が労働安全衛生法第100条第1項(報告等)違反と同法第61条(就業制限)違反の疑いで送検された。

 特定技能外国人に関しては、金属製品製造業の工場で1か月当たり100時間を超える違法な時間外・休日労働をさせていた法人と代表取締役が、労働基準法第32条(労働時間)違反などの疑いで送検された。また食料品製造業の工場で、最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転資格(技能講習)のない特定技能外国人に運転させていたとして、法人及び代表理事が労働安全衛生法第61条(就業制限)違反の疑いで送検された。

 監督指導の事例では、土木工事業で働いていた技能実習生から残業代が支払われていない旨の申告があり、労働基準監督署が立入調査を実施した。週40時間を超える労働の割増賃金が支払われておらず、業務上負傷した際に健康保険を使用して治療費を本人に負担させていたため是正勧告し、会社は割増賃金の不足額合計約110万円を支払い、本人負担分などを返還した。

 金属製品製造業の工場では、特定技能外国人が切断用の電動工具で太ももを切創する労働災害が発生し、じん肺健康診断の未実施やフォークリフトの無資格運転が確認されて是正勧告を受け、会社は母国語での安全衛生教育などを行った。令和7年に労働基準監督署等から外国人技能実習機構へ通報した件数は674件、外国人技能実習機構から通報された件数は2,293件で、強制労働等の人権侵害が疑われる事案について外国人技能実習機構との合同監督・調査を54の事業場に対して実施した。

 特定技能外国人関係の業種別では、建設で1,238事業場のうち1,008事業場(81.4%)、飲食店で366事業場のうち295事業場(80.6%)、社会福祉施設で1,047事業場のうち802事業場(76.6%)、食料品製造で1,399事業場のうち1,065事業場(76.1%)、工業製品製造で1,722事業場のうち1,272事業場(73.9%)に違反が認められた。特定技能の主な違反事項の件数は、使用する機械等の安全基準が1,676件、健康診断結果についての医師等からの意見聴取が1,349件、割増賃金の支払が1,315件だった。

 特定技能外国人については、令和7年に労働基準監督署等から出入国在留管理機関へ通報した件数が502件、出入国在留管理機関から労働基準監督署等へ通報された件数が101件で、強制労働等の人権侵害が疑われる事案について出入国在留管理機関と合同で行った監督・調査は9の事業場だった。特定技能外国人を受け入れている特定技能所属機関は、令和7年末時点で62,996機関(出入国在留管理庁調べ。法人等の数で、事業場数とは異なる)である。

 特定技能外国人の監督指導事例のうち、飲食店では、特別条項付き36協定で定める特別延長時間まで労働時間を延長できる回数(6回)を超えて特定技能外国人を労働させていたことと、10日以上の年次有給休暇が付与された特定技能外国人に1年以内に5日分の時季指定が行われていなかったことについて是正勧告を受けた。会社は勤務シフトの実績を週単位で確認し、業務の一部を本部のセントラルキッチンに移して時間外労働を削減し、年次有給休暇の管理表の様式を全社的に変更して現場管理者に労働法教育を実施した。鉄鋼業の工場では、特定技能外国人が鋳型を搬送する機械を調整する際に機械を停止せずに作業したため手を挟まれる労働災害が発生し、機械が完全に停止したことを確認した後に作業を行うよう是正勧告を受け、母国語で作業手順を示して教育を行うよう指導された。同工場は直近半年間で3件の労働災害を発生させており、会社は母国語を併記した掲示物による注意喚起と外部委託による安全教育を実施し、安全衛生委員会の開催時に安全パトロールを定期的に行うこととした。

 実務上は、違反事項で最も多い機械等の安全基準について、機械の安全装置や外国人労働者が理解できる言語での安全衛生教育を点検する必要がある。

労務トラブル等の発生を未然に防ぐための実務上の対応や、外国人雇用に関するご相談は、専門知識を備えた適正な監理団体等へお問い合わせください。
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