在留資格
配偶者・子ども同伴の外国人材も28時間の壁を超える?飛騨市の試みと留学生家族向けの在留資格活用法
掲載日: 2026-08-10
情報元: "外国人労働者 在留資格" - Google ニュース
執筆: 宮武 薫(行政書士)
「28時間の壁」とは─外国人家族就労の現状
外国人留学生の配偶者や子どもが日本で活動する場合、在留資格(例:「家族滞在」)に付与された就労資格外活動許可では、週28時間までという制限が課せられます。これが「28時間の壁」と呼ばれ、地域経済を支える人材確保の大きな障壁となっています。岐阜県飛騨市は人口減少・労働力不足に直面する中、この制限の緩和や回避策について、出入国管理庁(旧入管庁)と協議を進めています。
現行の法的枠組みと制限の根拠
出入国管理及び難民認定法第19条の2では、在留資格「家族滞在」の保有者が「資格外活動許可」を得た場合、原則として「1週間につき40時間以内」の範囲内で就労が認められます。しかし通達により、留学生と同じく週28時間に制限されています。この措置は、家族滞在者の主たる活動(家族との生活維持)を支障なく行わせ、また無制限な就労による不正就労対策を目的としています。
飛騨市の新しい試み─地域経済への貢献と制度運用
飛騨市は、①配偶者の就労資格外活動許可時間の段階的拡大、②高度人材や専門技能を持つ外国人に対する在留資格「技能」の活用、③地域産業に必要な人材として企業単位での個別許可制度の検討、といった方針を打ち出しています。また技能実習制度や特定技能制度の活用も視野に入れており、外国人本人の在留資格区分の変更を通じた就労制限の解除を推進しています。これらの取り組みは、外国人家族の経済的自立を促し、地域への定着につながる可能性があります。詳細なご相談はさくら中央法務事務所(在留資格専門)にお気軽にお問い合わせください。
実務的な活用ポイント
受入企業や監理団体が現段階で取り得る対策としては、以下が考えられます:①配偶者が留学生である場合、本人のキャリア形成と技能を踏まえ、個別の時間延長許可を申請する際の具体的理由書の作成、②子どもの年齢が高い場合は、独立した就労資格への転換を検討する、③地域の市町村との協業により、人材確保計画書に家族の就労予定を明記する。飛騨市の試みが全国に波及すれば、制度設計が大きく変わる可能性も考えられます。
よくあるご質問(FAQ)
現在、留学生の配偶者を雇用しており、週20時間で勤務してもらっています。飛騨市の試みが通ると、28時間に引き上げることはできますか?
飛騨市の試みはまだ検討段階であり、現時点では全国統一的な変更ではありません。個別の許可は出入国管理庁または地方入管に申請が必要です。ただし、企業の人手不足が深刻であることを証明する資料(求人票、経営状況等)があれば、時間延長の個別申請の通過可能性が高まる傾向があります。必ず事前に地元の入管に相談してください。
外国人材の配偶者が子どもを連れて来日する場合、子ども自身も『家族滞在』で就労制限を受けますか?
はい、未成年の子どもが『家族滞在』で在留する場合、原則として週28時間の就労制限が適用されます。ただし、子どもが18歳以上で高度な専門技能を有する場合は『技能』資格への申請も検討の余地があります。また、教育と両立できる範囲での就労許可申請(例:高校生が週10時間程度)は比較的許可されやすい傾向があります。
技能実習制度と家族滞在制度を組み合わせることで、配偶者の就労制限を回避できますか?
理論的には可能ですが、実務的には複雑です。例えば、本人が技能実習(1号・2号)で滞在中に配偶者が『家族滞在』で来日した場合、配偶者の在留資格は『家族滞在』のままであり、就労制限は継続します。根本的な解決には、配偶者自身が『特定技能』や『高度専門職』などの独立した就労資格を取得することが必要です。
飛騨市以外の自治体でも同様の試みが始まっていますか?
現時点では飛騨市が先行的に取り組んでいる事例です。今後、同様の人手不足課題を抱える地域(製造業が集中する地域、農業従事者不足の地域など)に波及する可能性がありますが、全国統一的なルール変更にはいたっていません。自社の所在地の自治体が関連する動向を注視し、地方入管に最新情報を確認することが重要です。
飛騨市の試みが実現すれば、監理団体・受入企業にとって配偶者や子どもの労働力を より柔軟に活用できるようになり、採用コストの削減と定着率向上が期待できます。一方、許可基準が明確化されるまでは個別対応となるため、個別協議能力と書類作成技術が監理団体の競争力となります。今後、特定技能制度と組み合わせた『家族ユニット採用』が新たなビジネスモデルとなる可能性もあります。
「28時間制限の見直し」という報道に過度な期待を持ち、許可なく就労させるトラブルが生じないよう注意が必要です。また、飛騨市の試みはあくまで『試験的な協議』であり、全国統一的な法改正にはいたっていません。許可前に出入国管理庁の最新見解を確認しないまま受け入れ計画を立てた場合、不許可となり企業・外国人双方に損害が生じるリスクがあります。
監理団体・受入企業は①飛騨市の取り組み内容について出入国管理庁の最新通知や地方入管の見解を確認し、②該当する外国人材の家族がいる場合は、現行の28時間制限下での雇用条件を再検証し、③在留資格変更による根本的な解決(『家族滞在』→『技能』『高度専門職』への変更)を視野に入れた人事戦略を立案することをお勧めします。