在留資格
事業主の未届け疑い7.5倍急増—受入企業が知るべき不法就労防止の法的責任と実務対応
掲載日: 2026-07-12
情報元: "外国人労働者 在留資格" - Google ニュース
執筆: 宮武 薫(行政書士)
外国人労働者の不法就労防止—企業に求められる法的責任
東京新聞の報道によれば、外国人労働者の事業主未届け疑いが過去5年間で14万件に上り、7.5倍の急増を記録しています。これは単なる手続き違反ではなく、受入企業に刑事責任を負わせる重大な法的問題です。
不法就労助長罪の成立と企業責任
出入国管理及び難民認定法第73条の2により、外国人に不法就労をさせた者は「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」に処せられます。「させた」とは、外国人が違法な就労をすることを知りながら、またはそれを容認しながら雇用することを意味します。事業主が外国人の在留資格や就労可能範囲を確認せず、または確認書類を届け出ずに労働させた場合、この罪に問われるリスクが高まります。
届出義務と確認責任の具体的内容
雇用契約に基づき外国人を雇用する場合、事業主は以下の義務を負います:①外国人の在留資格・在留期間の確認、②ハローワークへの雇用契約届出(原則として契約前)、③就労可能範囲の確認と契約書の保管。特に技能実習や特定技能で受け入れた外国人については、監理団体との連携のうえで、受入企業としての確認・届出責任が発生します。
さくら中央法務事務所(在留資格専門)でも、近年の未届け摘発の急増に伴い、監理団体・受入企業からの相談が増えています。多くは「届け出の時期や方法が曖昧だった」「確認書類の保管状況が不十分だった」といった実務上の誤解が原因です。
未届けリスクの実態と対策
摘発件数の急増背景には、①入管当局による調査の強化、②雇用契約届出制度の周知徹底、③企業コンプライアンスの厳格化があります。一度未届けで指摘されると、企業名の公表や指導、場合によっては刑事告発につながる可能性があります。特に監理団体が関与する技能実習では、監理団体としても受入企業の法令遵守状況を確認する責任があり、相互に注意が必要です。
よくあるご質問(FAQ)
すでに未届けで雇用している外国人がいます。今から届け出ても大丈夫ですか?
法律上は『早急な届出』が重要です。ただし事後届出は『未届けの事実』は消えないため、ハローワークに相談のうえ、企業側の過失内容と改善策を説明し、入管当局に摘発される前に自主申告する方が有利です。弁護士・行政書士に相談し、法的リスク回避の方法を検討してください。
監理団体が受入企業の届出を代行することはできますか?
監理団体が受入企業に代わってハローワークに届け出ることは可能ですが、法上の『雇用契約届出義務』は事業主(受入企業)にあります。すなわち、監理団体が届け出ても『受入企業が事業主として責任を負う』ことに変わりはありません。届出完了の確認と記録保管は受入企業自身が行う必要があります。
在留資格『特定活動』の外国人を雇用する場合、届出が不要という話を聞きました。本当ですか?
違います。すべての外国人労働者は、在留資格の種類を問わず、雇用契約に基づいて就労させる場合はハローワークへの届出が原則必須です。『特定活動』であっても『就労不可』と指定されていない限り届出対象となります。外国人の活動内容と在留資格の記載事項をハローワークで必ず確認してください。
外国人が『自分で届け出た』と言っているのですが、企業側は確認する必要がありますか?
必ず企業側で確認してください。ハローワークの雇用契約届出は『事業主が行うもの』であり、外国人本人が行った届出は無効です。企業側が『本人に任せた』では責任逃れにならず、『企業側が確認怠慢だった』と判定されます。事業主名・代表者印による正式な届出書の提出と完了証の保管が必須です。
受入企業は、在留資格確認とハローワーク届出を契約前に完了しないと不法就労助長罪に問われるリスクが急速に高まっています。監理団体にとっても、受入企業の法令遵守状況の把握・指導が経営リスク管理として最優先事項となっており、届出漏れの確認体制の整備が急務です。特に技能実習制度では監理責任が問われるため、一層の厳格な対応が求められています。
多くの企業が『外国人を雇用したら届け出ればいい』と考えていますが、実務上は『労働開始前の届出』が前提であり、事後申請は未届け扱いとなることがあります。また、外国人が自ら在留資格を隠蔽した場合でも、企業側が確認義務を果たさなければ『知らなかった』は言い訳になりません。監理団体経由の受け入れでも、最終的な確認責任は受入企業にあり、双方の責任分界点を曖昧にすることが落とし穴です。
①今すぐハローワークに問い合わせ、現在雇用中の外国人全員の届出状況を確認してください。②在留資格・在留期間・就労可能範囲を証する書類(パスポート、在留カード)を一覧化し、保管状況を整備してください。③今後の新規採用では『在留資格確認→ハローワーク届出→労働開始』の順序を絶対ルール化し、監理団体や人材紹介機関には『契約前届出完了が条件』を明記してください。